大切な衣類のお手入れについて 其の1 自身でできるメンテナンス〜メディテーションにも似たこの行為は〜
このブログも月刊から着々と隔月刊へとなってきたルーズな男、私です。
長い冬が明けてく。
春です。
桜が美しいです。
桜は散るから美しいとはよく言いますが、終わりがあるから儚さも強さもあるのだと思います。
そう、人生のようにね。(キラリン)
そんなこんなで春になり、冬物はもうしまわれた方もいらっしゃるかと思いますが、今回は自宅でできる冬物の簡単メンテナンス講座なるものをさせてください。
当店は一般的な既製品の洋服と比べると所謂良い素材が多く、高額な製品をお取り扱いしています。
そんな大事なお洋服をどうやって永く着てもらえるか、愛着を持っていただけるか考えたところ、自身でメンテナンスしていただくのが一番だと思いましたので今回このテーマで書かせていただきます。
私は服に興味を持った中学生の頃から洗濯やケアについては人一倍神経質でしたので(面倒臭い子供でした。お母さん迷惑かけたね、ごめんよ)、その経緯が参考になれば幸いです。
其の1の今回はウール系がメインですが家庭での洗濯についてもいずれ書きます。多分。
洗濯最高!
冬物衣類といえばニットやコート等のウールをはじめとした羊毛、獣毛が使われた製品が代表ですよね。
天然の動物性繊維ですので洗濯したら縮むので、自身で洗うことはせずにクリーニングに出す方も多いと思いますが、簡単なケアでしたら衣類にダメージを与えずに自身で行っていただけます。
なるべく多くの方にご理解いただきやすいように色々と小難しいことは端折っていますので其の点はご容赦ください。
まずはウールを代表とした動物性繊維について基本的なことを簡単に。
・常温以上の水の中で揉み洗いすると毛が絡まり縮む
語弊を恐れずにわかりやすく超簡単にいえば、ウールといった羊毛は天パです。そして毛が傷みまくっています。
もちろんサラサラストレートなやつもいますが大体毛が傷みまくった天パと考えてもらえばいいです。そりゃ毛が絡みやすいですよね。
毛が絡まりまくり縮みまくった結果、どうなるかというとフェルトになります。
手芸をされている方はよくご存知かと思いますが、フェルトは羊毛を針で刺しまくってフェルトにさせます。毛を絡めているのでフェルト製品は縫い目がなくても解けることがありません。絡みまくってますので。
セーターを洗濯機で洗って乾燥機に入れると、一気に縮んで小さくなるのは絡みまくった結果ということです。キッズサイズになります。
はい。そんな感じでウールについてなんとなくご理解いただけましたでしょうか。
肝心のメンテナンスに移りますね。
必要な道具は
・洋服ブラシ
一般的なウール地にはコシのある豚毛のものを使います。
ホームセンターや無印良品にもあり比較的安価に手に入りやすいです。
まずとりあえず、という方はこういった店舗のものを買ってみるのもおすすめです。
(カシミア等の高級でデリケートな獣毛には専用のタイプの柔らかいけどコシもあるブラシがありますが、一般的なブラシに比べると割高です。が、良い素材の大切な服を長く大事に使うためと考えたら全然安いもんですよね。まじプライスレス。私は一般地と高級地共にちょっとお高めのブラシを使用して、ツイードのような厚いタフな生地には安価な硬い毛のブラシを使用しています。)
使うときに力を入れすぎてブラシの毛の根元まで曲がらないように力加減(大体毛先1/3位までしか繊維にかからないような感じ)を調整して手首のスナップを効かせるような感じで上から下にブラッシングします。
ブラッシングを行うことで得られる効果
・上から下に払うことにより毛並みを整え、埃やチリを落としてくれる
このことにより繊維を食べる虫も落ちて虫食いの可能性も低くなります。英国紳士は部屋でやらずに玄関でブラッシングする光景はこういった理由からなのですね。知らんけど。
・出来始めの毛玉を解かして綺麗な状態を保つ
毛玉は繊維が摩擦によって絡まってできるので、その絡み始めた毛を解かして毛玉を作りにくくします。ちなみにできてしまった毛玉はハサミでカットして取ってくださいね。毟るのイクナイ。スカスカになるよ。
はい、ブラシ最高!ですね。毎回ブラッシングなんてめんど臭いと思う方もいらっしゃるかと思いますが毎回じゃなくてもいいのでたまに(3〜5回着たら)やってもらえたら効果は感じられると思います。
ブラシだけでも素晴らしい効果ですが、更に是非セットで揃えてほしいものがあります。
・スチーマー
衣類スチーマーは蒸気で衣類をケアするものです。一般的なアイロンにもスチーム機能が付いたものがあると思いますが、なるべくスチーム機能単体のものを選んでください。蒸気量が全然違いますので。
スチーマーは気になるところ(襟、袖周り)を重点に全体的にかけてください。
ウール地のスーツ等はハンガーにかけてスチーマーを使うのですが、セーターやマフラーのローゲージ編みやモヘアなどのものは型崩れしやすいのでハンガーにかけずに机の上で行うのがおすすめです。
私は10年ほど前にamazonで買った2000〜3000円位の安いものを使っていますがそれで充分です。
ここのは常に蒸気がシュワーって出るタイプじゃないところが好きで、強力なワンショットが繊維の奥に入り込んでくれるのが好きです。そのワンショットが中年男性の情念にも似た加齢臭や皮脂の匂いを浄化してくれます。ブシャーーってスチーム出ます。火傷注意。バリ熱い。
最近は色々な家電ブランドからスチーマーが出ているのでそういったものであれば極端な失敗はないと思います。T-falやpanasonicとかの。新商品のアクセススチームフォース、気になるぜ。
店舗では業務用の象さんみたいなゴツメのものを使っていますが家庭用のもので充分です。
スチーマーを行うことで得られる効果
・臭いや軽い汚れを落としてくれる
上で軽く触れていますがタバコや焼き肉等の食事の臭い、皮脂臭を除去(軽減)してくれます。そして軽い汚れ程度なら浮かしてくれるのでスチーム後にタオル等でポンポンしたら取れます。すんごい。毎回洗わなくていいがな。
・ブラシ以上に服についた虫を殺すことができて虫喰いの可能性を低くすることができる
100度以上の蒸気なので目には見えないような虫の卵や幼虫も殺せ、ダニも一瞬で屠れます。カーペットや絨毯、寝具にも使えます。バリヤバい、便利。
衣類以外のものに使用した後は掃除機をかけてくださいね。
・スチームで型崩れを(多少)直すことができる
襟元や袖口が伸びたり変形してしまったものや、逆に縮んでしまったものを拡げたりも可能です。
伸びたものにはスチーマーを当てた後にギュッと絞ります。袖口や裾口はヘアゴム等で絞ってからスチームしてみてください。その後ある程度乾いたところでゴムを取って、皺を再度スチームすると尚良し。
縮んだものにはそこまで効果は大きくないですが、スチームをかけた後に伸ばしたい部分の全体をなるべく均等な力で拡げてください。決して一部分だけ引っ張らないようにしてください。(一部分だけ引っ張るとそこだけ伸びてスカスカに見えます)
・スチーマー後はフカフカになる
高温の蒸気と空気が一気に繊維内部に入り込むことにより繊維が膨らみ、フカフカさを増します。スーツ等の光沢があるような細い繊維のものよりも、ざっくりしたローゲージ編みのセーター、マフラー等の方が効果を実感しやすいです。
・ウール以外の天然素材にも使用できる
ここまで動物性素材を対象としてきた効果について書きましたが、綿や麻等の植物性の天然素材にも使用できます。皺伸ばしや1回着たくらいじゃ洗わないようなアウター類の臭い取りにも使えます。
今回メインに取り上げた羊毛獣毛以外の絹のような動物性繊維にももちろん使えますので、年中スチーマーを稼働できます。
以上スチーマーのメリットについて軽く触れただけでも、恐ろしいくらいの効果があることがわかりました。一家に一つマストバイです。Boon世代。
ブラシとスチーマーを兼用して効果が高まるものですので、なるべくセットで揃えてほしいですが、お手持ちのものによってはとりあえず片方だけでもいいかもしれません。(スーツのみのお手入れをされるという方にはブラシだけとか)
今回は道具を用いたメンテナンス方法を簡単にご紹介しましたが、次回の其の2では皆さんよくご利用されるかもしれないクリーニング屋さんについての要チェックポイントを、私なりの解釈を踏まえてご紹介いたします。
長文お読みいただきありがとうございました。
それではまた次回。