仕事について3 「当店の目指す到達点」
前回の壮大なテーマの続きをどうしようか悩んでいた川口です。
今回は更にハードルを高めた内容で、自分の脳みそに鞭打ってみようと思います。
いつも通り収拾つかない文章かもしれませんが宜しければお付き合いください。
今やネットやSNSである程度の深度の情報が簡単に手に入る時代です。
現代は集団的価値観よりも個人的価値観が重要視される生き方が広く一般的になってきたと感じます。
服などの嗜好品にお金をかけるといった事など、自分の肌感では自分自身のモノや体験にお金をかけるような割合も年々と中年層、高年層のレンジが広くなっている気がします。
どういうことかというと、昔みたいに高齢になればなるほど近所のスーパーで買ったような980円のジャージを着るわけでもなく、年配の方でも自分の好きな服を好きなように着たいといった方もなんとなく増えてきたように思います。
昔、私が小さい頃は家族や孫に少しでも多く資産を残してあげたいといった考えから、自分は何を着て何を食べようがどうでもいいんだというお爺ちゃんお婆ちゃんが多かったイメージ。
それが今は人生100年時代と呼ばれ、個人の趣味嗜好をずっと持ち続けてもいいんだよという時代へ。
良い言い方をすれば個人の価値観の尊重、悪い言い方をすれば煩悩が消えない。
どちらが良い悪いの話ではなくこういう時代なのかなと感じています。
集団(家族)主義から個人主義へ。
色々な社会的な事柄が絡み合った結果、こういった価値観へと変容したのかもしれません。
当店に当てはめてみれば、あらゆる年代の方へ嗜好品の洋服をその方の生活になじませ、日々を楽しく過ごしてもらえるような提案が必要不可欠です。
ですが結局着る物がそんなにたくさんあっても仕方がなく、体は1つでしかなく日々着る洋服もそれぞれ1アイテムずつ。
であればこれからの人生で、このブログで何度も同じこと言うようですが、なるべく長く一緒に過ごせるその人にとって"いいモノ"を探して見つけれたらいいですね。
そしてそれが見つかったなら長く愛用できるように手入れもしてみませんかというのが今回の話です。
以前も似たような言い回しでウールの回がありましたが、さらに思考の海を深く潜ってみます。
だいぶ遠回りして本題に入りました。さーせん。
はい、皆さんにとっての"いいモノ"のお手入れ。
私たちは先日同じ秋田県内のm's collectablesさんにて革靴の靴磨きワークショップなるものをやってきました。
個人的に靴磨きはモノを大事に使うための入り口としてとてもマッチしたものだと思っています。
良い靴をお持ちだけど色んな理由でケアできてなかった方、自己流でやってたけど正解なのかどうかわからない方、色々な方がいらっしゃいましたが皆さん一様にとても楽しく靴磨きされていたことが印象的でした。
いやあ、これですよ。これ。
私が当店を通じて訴えたかったことは。
ファッションとしてモノを消費するのではなく、その人にとっての"いいモノ"を大事に長く使えるように楽しみながら慈しむ行為。
本当にいい光景でした。
個人主義時代の嗜好品の追求を徹底すれば、消費としての購買行動よりも愛用品を手入れして愛用する、一つの到達点としての提示なんじゃないかなと思っています。
有漏(うろ)から、無漏(むろ)へ。
これが当店の目指す到達点かなと思っています。
モノ売りを生業としていますが、売ったその次の行為のステップを一つの理想として目指しております。
いやあ、私にとっても本当に幸せな時間をありがとうございました。
来月もまた同じ秋田県内の、当店からほど近い場所で靴磨きのワークショップのようなものを予定しております。
詳細はinstagram上で告知させていただきますので宜しくお願いします。
皆さんのお持ちの革靴をはじめとした革製品をご一緒に手入れできたらいいなと思っております。
今回は起承転結の"転"。
前回の"仕事ってなんだろう"というある種の概念のようなテーマから一転して、当店なりの"仕事"の"目指す到達点"ということでこんなところに着地しました。
次回はこの「仕事について」というテーマの最終回、"結"になります。